今回は理系大学生のレポートの書き方【結果編】です。
レポートや論文の構成は「背景>目的>実験方法>実験結果>考察>結論」となります。
実験結果はレポートや論文の最も重要なパートになります。
まずは実験結果に書く上での基本知識を解説して、その後に実験レポート向けと大学院生向けの解説に入ります。
実験結果、これだけは絶対守ってください!
実験結果を書く時に絶対守ってほしいことは「結果と考察を混ぜない」ことです。
結果とは「あなたが行った実験により得られた純粋な事実」のみの事。
考察とは「その事実から推察される事柄」の事。
レポート添削をしているとこの「結果」と「考察」を混ぜて書いている学生がほとんどです。
ーーーーー例えばーーーーー
無色透明な液体を判別する実験があったとします。(選択肢は水、塩酸、水酸化ナトリウム)
判別するためにあなたはリトマス紙に付けたり、匂いを嗅いだり、金属に溶かしたとします。
その結果、青リトマス紙は赤に変わりました。
匂いはツンとした辛い匂い、金属はアルミニウムや鉄、鉛は溶かすが銅は溶けなかった等の情報を得られました。
これらの情報よりこの液体は「塩酸」であると推察できる訳です。
この場合での結果は
①青リトマス紙が赤色に変化→酸性の液体
②匂いがツンとした辛い匂い
③鉛は溶けて銅は溶けない→イオン化傾向(K,Ca,Na,Mg,Al,Zn,Fe,Ni,Sn,Pb,H,Cu,Hg,Ag,Pt,Au)の水素よりイオン化傾向が大きい金属(左側)を溶かす。
この3点のみです。
考察ではこれらの情報から当てはまる液体を考えることです。
この場合は選択肢が水、塩酸、水酸化ナトリウムなので「塩酸」だと決められる訳です。
これは簡単な例ですが、実際の実験ではもっと複雑になります。
結果の欄に「この液体は塩酸である」と書いたり、考察の欄に「青リトマス紙が赤色に変色した」などと誤って書いてしまう事が多いです。
ーーーーー例え終了ーーーーー
上記の例えのように結果は自分の手を動かして得られた内容、考察は結果から得られた情報より推察される内容と区別して記入することを徹底してください。
主観やあいまいな表現、指示語を避ける
書き方の基本として「主観やあいまいな表現、指示語を避ける」ことも最重要なので解説します。
主観やあいまいな表現とは「○○だと思った」や「急激に」などという表現です。
急激にという表現はある人にとっては急激かもしれませんが、別の人にとってはそんなに急じゃないと思うかもしれません。
基準値が示してあり、それに逸脱した数値の場合は使用しても良いですがあくまで基準を設けた条件付きです。
指示語は「これ」とか「それ」の事です。
論文などの長い文章では、文の途中で「これが○○に作用した」と書いてあってもどれが作用したのか明確ではありません。
ちゃんと「××が○○に作用した」と記述するようにしましょう。
結果では100人中誰が見ても納得するようなデータを数値で論じるパートであるため「数値が増加した」のような曖昧な表現ではなく「○○値がx mg (y %)増加した」というように記述しましょう。
卒業論文、修士論文向けの実験結果の書き方
結果を細分化して番号を付ける
卒論や修論になると実験の数が4~5個まで増えることがあります。
その時は下記の様に番号を振ってそれぞれに対応した結果を簡潔に載せましょう。
4. 実験結果
4-1 ○○の開発
4-2 ××と△△の反応
4-3 △△の反応速度について
4-4 □の●に対する評価について
自分の研究を上記の例のように分類して、それぞれに対応して結果を載せます。
このようににすれば書き手にとっても読み手にとっても分かりやすい論文になります。
成功も失敗も全て記述する
卒論や修論が実験レポートと少し異なる点は「成功した結果も失敗した結果も全て記述する」点です。
卒論や修論では失敗の数が膨大になります。
その失敗も含めて結果になるので失敗の過程も記述しましょう。
イメージは下図の成功までのイメージです。
卒論、修論では「失敗」から「成功」へ辿り着く過程も重要ですので必ず記載しましょう。
失敗①では何がだめだったのかを図やグラフを用いて改善して、追加実験を行います。
そして再度失敗した場合でも失敗した原因を考察して追加実験を行います。
このサイクルの果てに成功があり、その過程を卒論、修論に詰め込むことで論文は完成します。
まとめ
- 結果と考察は混ぜない
- 主観やあいまいな表現は避ける
- 得られたデータは図やグラフと共に記述する
- 失敗した結果も記述する
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